手品備忘録25/04/10
バノンのImpossibiliaとSmoke & Mirrors(DVD)を見たので雑感です。当たり前ですがBannon若いですね。あまりイメージのないコインマジックなども見られて新鮮でした。
気になったものを抜粋してコメントしていきます。
Impossibilia
Stranger’s Gallery
単売もされている、言わずと知れたカラチェン手順。確かによくできています。いまのバノンだったら全部手渡し可能な構成とかにしてそう。
Play it Straight
言わずと知れたその②。バノンは最近Bannon Triumphと呼んでほしいと語っているようですがあまり慣れない。
トライアンフには無数の改案がありますが、真の意味においてオリジナルから解き放たれた全く自由な解決策を提示しているのはこのトリックぐらいな気がします。
Shock Treatment
演技だけ見て「けっこういいじゃん」と思ったのですが、解説を見ていたら観客に対する非常に重要なある指示を聞き逃していたことに気付きました。そしてその部分が原理に紐づいており、割とネックな(気にかかる)部分でもあって……ここさえ解決できればけっこう面白い気もするのですがいいアイデアなどは特に思いつきません。
The Birnman Revelation
けっこう面白い見た目の4Aプロダクションで練習してみようかなという気になったのですがけっこう難しいです。両手であの手法をやるってのが困難。
Shanghai Surprise
コインを変化(スペルバウンド現象)させますが、手の中でチャリンと音がします。やっぱりコインを2枚使っているのかと観客に思わせておいて、手を開くとそれまで用いていたコインとは全く異なる2枚のチャイニーズコインへ変化しています。マニアックな試みですが綺麗にまとまっているように見えます。このDVDにはいくつかコイン手順が収録されているのですがこれが最も良いと思いました。
Photo Logic
念写というのか、スピリチュアルライティングといった分類の手順ですが、あまりオカルトチックな演出ではなく愛らしい小道具を使っています。現象も分かりやすく、手順の中の検めも自然で無理がありません。ちょうどいい手品。
Return of the Magnificent 7
ワイルドカード手順です。導入から処理までよく考えられており、面白いです。
Smoke & Mirrors
Detour De Force
色々応用の考えられそうな手順です。ゆうきとも氏が以前プレいディクションというトリックを単売していたと思うのですが、あれの元ネタですかね。
Do The ’Twixt
ビトウィーンユアフィンガーといったところでしょうか。面白い試みを含んではいます。僕はどうしてもこのプロット自体、選ばれたカードの扱いが均等ではないことに気持ち悪さを感じて心から好きになったことはないのですが。アレを行う部分だけ抜き出して応用などを考えてみたいです。
ベンザイススピンカット綺麗だな。
Masquerade
すっきりしていてキッカーエンディングのアセンブリとしてはよくまとまっているように見えます。
New Jack City
言わずと知れたその③。さすがに鮮やかですね。練習しよかな。完成度が高いとあまり言うことが思いつきません。
Timely Departure
分類としてはクロックトリックにあたるのでしょうか。あまり見たことのない原理を用いています。原理、現象ともに珍しく面白いのですが、いかんせん手続きが長いのと、鋭い人には原理の一端を逆探知されそうな気もします。演出や台本も工夫してはいますが原理感を脱臭しきれてはいないのかなと。
Call of the Wild(演技のみ)
ワイルドカードプロットを下敷きに、プロデュースというか演出で新鮮な印象を与えています。大幅なカード変化がやはり鮮やか。
バノンはめちゃくちゃカード捌きが鮮やかというタイプではなく、ジェニングスとかに通じるもっさり感があるように思うのですが、このカードの扱いと時折素晴らしい切れ味を見せる創作上の独創性とは結びついたものなのかなという印象です。面白い原理や発想を見ることができていろいろ刺激になりました。