『52㎐』について思うところ(4/6)

レクチャーノートとは「奇術の解説を伝える」という機能を果たすためのもので、それは間違いないのだけど、やはりそれはそもそも本である。本である以上、本としての面白さがあるべきではないかというのは書き始めたときからずっと考えていたことだ。

少なくとも僕が面白いと感じ、多大な影響を受けてきたレクチャーノートや奇術書にはみな読む楽しみがあった。この読む楽しみというのは筆者の文章力によるものだったり、あるいは物事をどのように分解し再構築して伝えるかというプレゼンテーション力によるものだったりしたと思う。本というのはまず何より読むためにあるもので、読むこと/読ませることそのものが目的だ。

そういう面白さを提供することが自分にどこまでできるかは分からないが、伝え方を考え、読者との距離を考え、自分なりに文章を整理し、2年かけて書きあげてきたつもりである。読者にどのような響き方をするのかは自分の手を離れてからでなければ分からないところだけど……数日中に最終稿を入稿する。

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